調査現場での音声盗聴器・盗撮カメラ発見例
実際の調査における盗聴器・盗撮カメラ発見例 |
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ケース1
依頼内容
大阪府下、会社勤務のOL二人から依頼。
会社内の電話に盗聴器が取り付けられていて、それを上司が聞いている様だ。
気持ちが悪いので電話機を取り替える予定だが、その前に盗聴かどうかハッキリさせるために、電話機内部だけを調べてほしいという依頼。
調査
二人が勤める会社は訪問販売が業務で、昼間社内にはこの二人しかいない。
その間に電話で話した内容を全て上司が知っている為、電話のみを調べてほしいということ。
- まずは社内電話線上に録音装置が付いていないかチェック→異常なし
- 電話機(FAX一体型)を分解→異常なし
- 電話回線チェッカーで回線自体をチェック→異常なし
更に室内盗聴についても調べてほしいとのこと。
- 広帯域受信機3台を使用して盗聴電波の受信チェック→発見
受信機からは室内の音が聞こえる。
どうやら、二人がいつも居る部屋ではなく、ドア無しでつながっている隣の会議室内に付いている模様。
盗聴器取付場所特定の為、小型受信機と電波探知機で調査。
会議室内壁面上部の換気扇用コンセント内に取り付けられていると見られる。
コンセントを抜き、カバーを外す。 コンセント部分を開ける。 (この作業には電気工事士の資格が必要)
内部に市販の室内音声盗聴機が見つかる。
コンセントの裏部にワニ口クリップでしっかりと接続されている。
取り外し。
取り外したにも関わらず、受信機からは若干違う室内音がまだ聞こえる。
更に小型受信機と電波探知機で室内調査。
二人がいつも仕事をしている部屋の床に転がっているテーブルタップ周辺が怪しい。
三つ又アダプタに間違いないと確信。
抜くと電波停止。
取り外した三つ又アダプタの裏には、周波数を示すシールが貼ったままである。
また、ネジ部分が樹脂で固められていて簡単には開けられない様になっている。
更に詳しい調査を行うが、異常なし。
調査完了。
まとめ
結果としては室内音声盗聴器が2つ発見された。
当初、依頼者は電話の盗聴と考えられていたが、結果として電話回線には盗聴器は付いていなかった。お二人がおっしゃるように上司が盗聴していたならば、どうやらこちら側だけの会話から通話内容を判断していたと思われる。
ただ、ここでどうも納得できないことは、2つの盗聴器の周波数が全く同じであったことである。
10m程しか離れていない所に、同一周波数の盗聴器を仕掛けた場合、一方の盗聴器の電波が他方の電波を完全に打ち消してしまうため、片方の盗聴器はあまり用をなしていなかったものと考えられる。
一般に販売されている盗聴器は様々な周波数のものがあるが、特にA〜Cの3つの周波数を使用しているものが多い。
通常、この様な近い場所に複数の盗聴器を設置する場合には、違う周波数のものを使用するが、今回の盗聴者はあまりこの様なことに関する知識が無かったものと思われる。
最終的には、この盗聴器は誰が取り付けたものか今回弊社では調べていないが、依頼者のお二人は絶対に上司に違いないとかなり怒っておられた。調査代金も会社の手提げ金庫から支払われようとされたが、お二人自身に支払っていただき、帰社。
お二人は盗聴器の設置状況や取り外し現場を、カメラで撮っておられたので、その写真と取り外した盗聴器を証拠として、上司と話をする予定とのこと。
ケース2
依頼内容
大阪府下ワンルームマンション、一人暮らしの女性からの依頼。
以前付き合っていた男性が盗聴している様で、いやがらせも受けている。
別の男性との結婚が決まってから更にエスカレートしている。
とにかく盗聴器を見つけて取り外して欲しいという依頼。
調査
室内は盗聴されているので、まずは部屋前の廊下で女性のお友達も含め状況の説明を20〜30分受ける。
注) 室内に取り付けられている盗聴器を取り外すだけの場合は、通常は室内でお話をおうかがいします。というのも、調査を開始したのを盗聴者に気づかれたとしても、その時点で盗聴者は室内に取り付けた盗聴器をどうすることもできないからです。
今回の場合は当初、相手に気づかれずに調査をしたいというご要望に沿って、室内では一切会話をせずに調査を行っています。
室内に入り機材のセッティングを行おうとした時に、目の前のテレビ横のコンセントにAC二股アダプタが必要もないのに付いているのに気づく。
気になったのでセッティングを中断し、これを分解するために取り外すと、若干重いことに気づく。
中を開けると、やはり盗聴器であった。
最もポピュラーで弊社調査でもよく発見する盗聴器である。
女性とそのお友達は非常にショックを受けている様に見受けられる。
この盗聴器は集音能力が高く30畳程度の面積を聞くことができるので、このワンルームマンションでは他に盗聴器は付けられていないと思われるが、完全に調べてほしいということで、調査を開始する。(通常調査)
調査途中にお友達は帰られ、入れ替わり結婚を控えた婚約者の男性が来られる。
3時間程の調査を行ったが、他に盗聴器・盗撮カメラ等の電波は出でいない事を確認。
また、有線式のものも付いていないことを確認。
調査完了。
女性宅を後にする。
車に機材を積み込み帰社するために、1キロ程車を走らせた時に、携帯電話に先ほどの女性から電話が入る。
「盗聴器らしきものが出てきたので、直ぐに戻ってきてほしい」
Uターンし、再度女性宅へ向かう。
この間「調査漏れ」という言葉が何度も頭に浮かぶ。
再度伺うと、男性が盗聴器らしきものを持っていた。
直ぐにそれを受け取り内部を確認する。
これもよく発見する一般的な電池式の盗聴器である。
ただし、先ほどのものと比べ電波も弱く、またFMラジオで受信する仕様のほとんどオモチャに近いものである。
電池を取り外し、テスターで電圧を測る。
電池は完全に放電していて、電波は出ていなかった事を確認。
多分盗聴していた男性は、まずこの盗聴器を取り付け盗聴していたのであろうが、電池交換の煩わしさや感度が悪かったため、先に見つけたACコンセント式の盗聴器を追加したのであろう。
その後、この盗聴器はそのままになっていたものと見受けられる。
この盗聴器は、押入れ戸の内側上の壁にガムテープで貼られていたということ。
調査途中で来られた婚約者が調査員が帰った後、たまたま戸を開けた押入れの前で寝転がって話をしていて目に入ったという。
「調査漏れ」ではなかったので、「ホッ」とする。
帰社。
注) 弊社調査では、押入れの中やタンスの中をひっかき回す家宅捜索(家捜し)の様なことはしませんので、電池が切れて電波が出ていない盗聴器は基本的には発見できません。ただし、通常調査以上では機器内部分解調査により、無線制御式・偽装品・携帯電話電波利用型等の発見は可能です。また、音声反応式盗聴器に対しても雑音を発生させて動作状態にした状態で調査を行います。
まとめ
今回の調査では、入室後1分程度で盗聴器発見という弊社最短記録になりました。
しかし物陰に隠れているわけではなく、テレビ横の直ぐ目に付くコンセントに突然2又アダプタ式の盗聴器が取り付けられたのに、全く気づかなかったというのも不思議です。
これに関しては当然いろんな方がおられ、非常にナーバスな方もおられますが、全く気にかけられない方もおられます。
現に以前、部屋に全くカーテンが無いワンルームマンションに住んでおられるストーキング被害にあっていた若い女性の方もおられました。
また、今回の調査でどこまでプライバシーに立ち入るかという課題もできました。
電波が出ている盗聴器・盗撮カメラは機器で発見できますが、それ以外のものは基本的に目・知識・経験で探すことになります。
取り付けられやすい機器内等はお客様のご了承を得た上で分解検査できますが、押入れの中やタンスの中まで調べるのは問題があると思います。
ただし、電池式の盗聴器で電波が出ていないものは、今後の被害を生むものではないので、問題ないと考えます。
また、これらの場所に動作している盗聴器を仕掛けても、集音能力が悪くなり盗聴しづらくなると考えます。
ケース3
依頼内容
兵庫県マンション、女性からの依頼。
とにかく盗撮カメラの調査をしてほしい。(詳細不明)。
調査
詳細調査で3部屋を調査。
全ての調査を行うが、盗聴器・盗撮カメラの電波は検知せず。
通常コンセントに接続している機器が、外されていないか再度確認する。
盗聴器・盗撮カメラの調査を行う場合は、日常的にコンセントに接続している機器を全て動作させた状態で行います。これに関しては、調査開始時にお客様にその理由を説明し、接続していない機器がないか確認を行っています。
空気清浄機などが昨日部屋を掃除された時に、コンセントから外したままだったことが判明。壁側に空気清浄機を向け(見られている可能性があるため)コンセントに差してスイッチを入れ、電源ランプが点灯したのを確認し、電波探知機でチェックを行う。→強烈に反応
すぐにコンセントを抜く。
早速分解すると、内部には空気清浄機の部品が全く入っておらず、カメラ・送信機・集音器が組み込まれている。
空気清浄機表面のデザインによる凹部に小さい穴があけられ、その裏にピンホールカメラがつけられている。(上図赤丸内)
これは、完全にマニアかプロの仕業に違いない。
各部品や線は、テープだけで取り付けられてるだけでなく、接着剤・ホットボンド・金具で補強されている。
送信機の右横にはテープで隠れているが、ACアダプタがあり、空気清浄機のコンセントケーブルと接続されており、空気清浄機のスイッチのON/OFFに関わらず、常に動作するようになっている。
この送信機は、盗撮カメラの送信機としては大型で、フレキシブルな数十センチ長のアンテナも取り付けられているため、電波の飛距離はかなり長いと考えられる。
実際に屋外に出てモニターでチェックした所、最大で100m程の所でも受像することができた。
(一般的な小型盗撮カメラは、見通し距離以外では10〜30m程度しか電波が飛びません。)
依頼者のご要望により、元の状態に戻す。
依頼者ご自身が以前、電気店で購入された静電気で集塵するタイプで、半年ほど前に紙フィルターを取り替えたときには異常がなかったとのこと。
このタイプの空気清浄機は初めからファンなどが無いので、購入時から全く動作音が無いため、中身を全て取り外されても気づかれなかった様だ。
調査完了。
まとめ
今回の調査では、依頼者の女性は何も話したくないということなので、弊社では被害状況や空気清浄機改造の経緯などはまったくわからない。
空気清浄機を元にもどし通常通りに映像・音声が送信されていることを確認されたことから、おびき出し或いはなんらかの偽情報を相手に流すことを考えられている様でした。
今回の調査では、改めて調査開始時のお客様に対する説明と接続機器の再確認が重要だと痛感しました。
全て解決したとの連絡を受け、ホームページ掲載の御承認を受ける。
ケース4
依頼内容
大阪府、ファミリーマンション(賃貸)。
入居後1ケ月。
詳細は不明だが、「盗聴器が付けられている」と誰かから知らされた模様。
調査
弊社調査では調査を開始するにあたり、まずは調査機器のセッティングを行います。
約10分程度かかりますが、この間も小型広帯域受信機(こちらで販売・レンタル)で350チャンネル以上の盗聴器やワイヤレスマイク等がよく使う周波数をチェックしています。
市販の一般的な盗聴器は、この時点で検出することがあります。
盗聴器らしき電波を受信。
セッティングを中断し、ボリュームを上げハウリングを起こして盗聴器の場所を絞り込む。
ボリュームを下げながら徐々に範囲を絞り込んで、なにも接続されていないコンセント部分でハウリングを確認。
直ぐにコンセントを取外し裏を確認→盗聴器発見
この盗聴器は、コンセント裏の空き端子に心線を差し込むだけで簡単に100Vに接続できるもの。
この空き端子は、通常の電気工事でコンセントを増設する時などに使用しますが、コンセントの上方にあるインターホンや給湯器のコントローラー等の電源をここから取っていることもよくあります。
これとは違い、ワニ口クリップで接続する盗聴器は、電線の絶縁被覆を剥いでから接続し、外れない様にテープ等で固定する必要があり、取付けに時間がかかります。(プラス1〜2分)
取外しをご希望されたので、取外し。
通常調査で全てのコンセント内部やその他の機器内部を確認→異常なし。
また、怪しい電波も検出せず。
まとめ
盗聴器に名前が書いている訳ではないので、誰がいつ取付けたのか不明。
賃貸の場合は、前の居住者に対して付けられたコンセント内の盗聴器が継続して電波を発していることがあります。
あくまでも私の推測ですが、近所の無線マニアが盗聴電波を受信し、住所を特定して依頼者に知らせたものだと思います。
(例えば、電話で何かを注文・契約している会話を盗聴すると、住所・氏名・電話番号は簡単にわかります)
入居後の不在時に侵入して取付けられた可能性もあるため、鍵を交換することを勧める。